推しと宇宙とアンモナイト

好きがあふれて言葉になりました。

推しの幸せについて本気出して考えてみた〜舞台『明るいお葬式〜るんるんは二度死ぬ〜』感想〜

時間が経った舞台の感想も、まるで今日観てきたかのように書くブログです。

泣く子も黙る猛将の後はキラキラのレビューショーを軽やかにこなした推し、田川大樹くん。
彼の次なる舞台は、「お葬式」!?

2016年の初演(SOLID STARプロデュースVol.7「明るいお葬式」公式サイト)を踏まえた上で、演出に白柳力さんを迎え、さらにパワーアップ!という触れ込みに高まる期待。
しかし、ゆめかわなサイトデザイン(SOLID STAR プロデュースvol.15「明るいお葬式〜るんるんは2度死ぬ〜」)と、奇妙なあらすじの織りなすハーモニーからは、推しがどんな役どころなのかは読み取れず。
ドキドキしながら俳優座劇場に向かいました。


しめやかな葬儀の司会進行から始まった公演。
が、冒頭から溢れる違和感。

トリッキーな進行台本、カラフルでファンシーでポップな祭壇。極めつけは、歩いて登場するご遺体。

それもそのはず、このお葬式は伝説のアイドル、柏木るんるん(所属:フラワーカンパニー)の葬式という名目で展開されたイベントで…!?


ちなみにわたしが好きなシーンの一つが、そこからの流れ。
葬儀を仕切る猫八葬祭の皆さんがやりとりしてる脇で、フラワーカンパニーの新人ラッパーコンビが準備体操をしてるんです。

まあ、このコンビの片割れ・Zen-chinが我らが推し・田川大樹くんなわけですけども。
相方poco(岩田玲さん)と毎回色々な小ネタを挟みながら動いてるので、ついついそちらばかりガン見してしまいました…。

中でも、舞台中央のメインストーリーと上手の影芝居とでバラバラに進行していくのが、
「ソイヤッサ!エーーーンドソウッ!!」
で動きがシンクロするのが本当に気持ちよくて。
円盤ではこのシンクロが見られなかったのが悔やまれるところです。全景入れて欲しかったな…。


さて、本編に戻ると、猫八葬祭とフラワーカンパニーとで喧々諤々の状況。
なんせ、るんるん休養からの死亡説を逆手に取り、マスコミも巻き込んで一儲けしたろ!という花菱社長(田中章さん)の企みを、猫八葬祭としてはどうにか丸く収めないといけないのですから。
やんわりと説得を試みる小仏さん(野村宏伸さん)に対し、「詐欺じゃん!」とビシッと指摘するのは小仏さんの娘・梓ちゃん(瑞季ちゃん)。この父娘のバランスが絶妙で面白かったです。

梓ちゃんは猫八葬祭にも、フラワーカンパニーにも、マスコミにも、アイドルファンにも属さない独立した存在なんですよね。
だからこそ、彼女の凛とした姿勢が活きていました。
今回、テーマの一つが「逃げない」だったと思うのですが、梓ちゃんはそれを色々な人に突きつけていて。それがとても小気味良かったです。


そして、逆にもどかしく感じたのが、柏木るんるん
芸能界に入り、るんるん&ビッキーでアイドルユニットとして活躍していたるんるん
しかし、彼女が本当にやりたかったのはアイドルではなくて…。

花菱社長をはじめとした事務所スタッフの押しが強くて独特なので、メンタルを病むまで言い出せなかったんだろうなあ、と思いつつも、もっと頑張ってよ…!と歯痒く思いながら見ていました。るんるん役の伊藤寧々ちゃんが小動物系の佇まいで、気弱な感じがハマっていたから余計にかな。
でも、元相方のビッキーとやり合うあたりからどんどん本性?が出てきて、いいぞもっとやれ状態に。

最終的にセンターで歌い踊るるんるんは、とってもかわいくてかっこよかったです!
ビッキー役の前田亜美ちゃんもザ・ライバルって感じで最高に良かったです。めっちゃレスくれたし(チョロいおたく)。

実は作中のライブパートでペンライトを振りませんか?って白柳さんとお客さんに提案したのが、我らがZen-chin、田川大樹くんだったのです。
公演2日目のアフタートークで決まり、早速、次の日の公演からの導入。


これがね、最高に楽しかったんです。
最初はマイクを持つZen-chin(緑)とpoco(黄色)、るんるん(紫)とビッキー(ピンク)の4人のイメージカラーだけだった客席が、日を追うごとにカラフルになっていって。ツキステに出演されていた鷲尾さんや土井さんのファンが、彼らが演じたキャラのライトも振ってくださるようになったんですよ。

推しが歌い、踊っている時に推し色のライトを振れるのって、本当に幸せだし、素敵な時間なので、こういう風に提案してもらえたことがおたくとしてすごく嬉しかったです。
そして、田川くんがアフトでここまでお話してくれるようになったことに成長を感じて、さらに嬉しかった…。


「一生推す〜!!」(※劇中セリフ)



とまあ、こんな風に千秋楽までとにかく楽しかった公演でしたが。

「自分の推し」が「実は他にやりたい仕事がある」と口にしたら、どう思うんだろうなあって、考えさせられる作品でもありました。
「推し」が本当は今の仕事から逃げたがっていたとしたら、「ファン」としてその現実にどう向き合えばいいのかなって。


るんるんは、アイドルを踏み台にして女優を目指すために、アイドルとして全力で歌い、今までの自分と決別しました。
彼女にとっては、それが正解だったのだと思います。
ビッキーと火花を散らしつつも、晴れやかに伸びやかに歌う姿は、とってもキラキラしてたから。

きっと、るんるんのファンクラブのみなさんも、そんな彼女を見て、これからも応援して行こうと思えたんじゃないかと思います。


じゃあ、わたしはどうだろう?
正直な話、公演終了直後はまだ、その答えが見つかってはいませんでした。

ただ、あれからだいぶ時間が経ち、今は胸を張って言えるようになったんですよ。


どんな形であっても、推しが推しらしく生きられるなら、それを応援したい!って。


もとより少し浮世離れした推しなので、明日いきなり「これから宇宙飛行士を目指します!」って宣言しても驚かないだろうな〜とも思っています。謎の自信。
多彩な才能があって、好きなものがたくさんあって、色々な分野に興味があって。
そういった要素が「田川大樹」という人間を作り上げているんだろうな、とも思うので。

もちろん、俳優としての彼のファンになったので、できることなら1作品でも多く演じている姿を見たいです。
けれど、人間としての彼の幸せをまず願わずにはいられないんですよね。
俳優としての活躍と、個人としての幸せが両立できるのが理想ではありますが。

もはや『生きてるだけでファンサ(by推し武道)』の域に達しているけれど、それは自分の見られる範囲で生きていてくれてこその話なのかな、とも思います。
なので、後悔のないよう推したいし、推しがファンの見えるところでかわいくてかっこよくて素敵でいてくれること、それこそ奇跡なのかもしれないと肝に命じて、感謝と愛を忘れずにいたいです。


…なんだかとってもスケールの大きな話になってしまいましたが、わたしにとって『明るいお葬式〜るんるんは2度死ぬ』は推しと、ついでにファンである自分の幸せについて本気出して考えてみるきっかけにもなった作品でした。

そして、Zen-chinのこのビジュアルが最高に良くて、天才だと思いました。ありが黙祷。
こんなチャラついてオラついてるのに、品の良さは失わないとか奇跡すぎません?(奇跡に何度でも立ち会うおたく)

しかも素のZen-chinはチワワみたいにプルプルしてるし、謎の東北訛りだし、ひじきTシャツ着てるし!(元ネタ
ギャップ萌えの宝箱で、萌えがインフレ起こしてました。推しが尊い


最後に、Zen-pocoが繰り広げた最高にcoolでやんちゃなリリックに溢れたナンバー、「HAN-NYAP」の歌詞へのリンクを貼るので良かったらご覧ください!

あと『推し武道』は本当に素敵な漫画です。アニメ化するからそちらもどうぞ!