ふたつの幻影〜『マスカレイドミラージュ』考察〜(前編)
前回までのあらすじ
劇団シャイニング3作品が2代目俳優により再演決定!
第1弾忍び道のチケットはご用意されず…
次は一推しの出演舞台マスミラ!今度こそ、ちはやは舞踏会に行くことができるのか!?
ふたつの幻影〜『マスカレイドミラージュ』考察〜(序章) - 推しと宇宙とアンモナイト
というわけで2017年8月3日。
再演『マスカレイドミラージュ』の公式サイトが開設され、2代目キャスト3人が発表、キービジュアルがお披露目されました。
【解禁!】劇団シャイニング 第2弾公演『マスカレイドミラージュ』本サイトをオープンしました。https://t.co/YBhZRg36dV pic.twitter.com/ifrVl2JoWu
— 舞台 劇団シャイニング公式 (@gekidan_shining) 2017年8月3日
わたしは初代シーノを演じた四ノ宮那月くんが一推しなので、どんな方が2代目を演じられるのかめちゃくちゃ興味津々でした。
2代目シーノとなった田川大樹くんについて検索したところ、今年(2017年)ペダステでデビュー後、一般舞台を1件経験され、マスミラが3作目となるフレッシュな役者さんだということがわかりました。
そして、何よりその身長に注目!四ノ宮那月くんと同じ186cm。しかも血液型も同じAB型。
どんな方かはまだよくわからないけど、メガネはとてもお似合いになるし、期待して良いのでは…?という結論に至り、うたプリクラスタの友人と協力してチケットを取ることにしました。
初演はなぜか行けなかったマスミラ再演のチケットがご用意されていた…
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年8月10日
なんと、ご用意されました。しかも2公演。
そしてついに迎えた1公演目終演後。
「最高」「しんどい」「最高」と言いながら原宿へ向かう坂を下る友人とわたし。
ふわふわとした気分でラストシャニストを楽しみ、友人と別れた後にロフトへ駆け込みました。
そして、レターセットとペンとを購入し、カフェで2代目シーノに宛てたファンレターを書くことに。
結論:シーノがいた。
いや、自分でもまさかこんな一瞬で落ちると思ってなかったんですよ。
でも、思っていた以上に田川くんの佇まいがシーノとしての説得力を持っていたのです。
そして、脚本がとんでもなく最高で、とんでもなくしんどくて。
初演自体がプリンスたちの当て書きとして作られているのは言わずもがなのですが、初演の時系列に続く再演の脚本もまた、初代を演じたプリンスたちの生に肉薄したものとなっていて。演じているのは2代目なのだけれど、そこにプリンスの幻影がちらつくだけにいたたまれない気持ちになってしまったのです。
いったい、わたしたちはどこの世界線にいるのか?
それもまた不思議な感覚でした。
なぜなら、「アイドルとして実在するプリンス」たちが抱えている闇は本来、ファンからは窺い知ることができないものなんです。だから、初代の公演を劇場で観た人はどこまでが当て書きなのか知らないはずなんです。
けれど、何故かわたしたちは知っている。四ノ宮那月が、寿嶺二が、美風藍が、どんな過去を持ってステージに立っていたのかを。それは、ゲームをプレイして、彼らの心のうちに触れたものしか知ることのできない真実で。
次元が捻れ、重なり、そして離れていく感覚に、くらくらしました。
再演で詳らかになったシーノ、レイジー、アインザッツそれぞれが持つ背景を思うと、初代のプリンスたちがどんな思いで演じていたのかに思いを巡らせずにいられません。初演が公開された当時ですら、シーノの影の存在に戸惑いを覚えたというのに…。
そして2公演目の東京千秋楽を迎え。
カーテンコールで素の田川大樹くんという存在に初めて生で触れ、「なんだこれは……」という思いがさらに広がりました。
四ノ宮那月くんとはまったくの別人なのに。なのに、なんでこんなに重なるの?と。
だっておかしくないですか?
身長186cmであんなにかわいくて、あんなに天然で、あんなにふわふわしている男の子が四ノ宮那月くん以外にもう一人存在するんですよ?
意味がわからないですね???
友人も「よくあんな子見つけて来たね…」と言っていましたけど、本当ですよ。よくぞこの子を選んでくださいましたって思いました。むしろここまで彼に関わってこられたすべての方に感謝するレベルでした。
生で観るからってスルーしようとしていた神戸千秋楽のライビュのチケットを取ってしまったくらいに、ものすごいスピードで田川くんという沼(今となっては宇宙)に飲み込まれていくわたし。
他の方の感想や考察を見たくて、Twitterであれこれ検索する日々。
そんな中で、思ったことがありました。
「めっちゃ那月だった!」もギリギリなところだけれど、「めっちゃ砂月だった!」は個人的にはアウトです…あくまで個人的な見解ですが。そもそも二代目は初代をきちんと消化した上で、自分なりの役を演じているのでコピーではありえないと思うのです。
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年10月5日
これです。マスミラ再演のパンフレットで、田川くんは初演のCDを暗記するまで聞き込んだという話をされていました。そして、そこまで取り込んでおいて、一旦全てを壊して、自分なりのシーノを作り上げたと。
二人のシーノを一から作り直すのは、さぞ大変なことだったろうと思います。
そして、那月に対する砂月という表現は、初代の四ノ宮那月をも見くびった表現だな、という風にも思いました。
めんどくさい四ノ宮担からすれば、初代の時点で砂月ってキーワードは存在しないはずなんだ…。シーノと、シーノの影という役を演じる上で、四ノ宮那月が自分の内面と向き合って出した答えがあの演技だと思っているので。だからこそ、四ノ宮那月、寿嶺二、美風藍って組み合わせがしんどいわけですし…
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年10月5日
眼鏡を外しただけで砂月が勝手に演技してくれたら、役に対する自分なりの解釈なんて不要なんですよ…でもそうじゃなかったからこそ、初代マスミラはとてつもなくしんどかったし、三人が三人とも仮面の下に様々な思惑を隠しているであろうことが透けて見えてつらかったわけで…
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年10月5日
再演ではその、仮面の下の思惑を更に掘り下げた構成になっているので、初演を振り返って改めてダメージを受けるわけです。再演で見えた三者三様のバックボーンを踏まえると、初代はよくぞあれを演じ切った…と震えるしかない。
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年10月5日
初演と再演、ふたつ並べて初めて浮かび上がる幻影こそが、マスカレイドミラージュという作品をより完成に近づけているのではないかと思う次第です。だからこそ、初演のファンにも再演を見て欲しいし、初演を知らない再演のファンにもぜひうたプリ作品全体を通して彼らの背景を知って欲しくなります…
— 🥭ちはや🥭 (@chi_ha_ya_p) 2017年10月5日
これが、東京千秋楽を迎えた時点のわたしの考えでもありました。
初演と再演はまったく別のものではなく、それぞれが補い合い、絡み合うことでさらなる幻影を作り上げ、わたしたち観客の中で完成に近づいていくのではないかと。そう思ったのです。
そして、それこそが初代と2代目という立場の違う二人の人間を起用した意味にも関わってくるのではないかな、と思いました。
この思いは、大楽や円盤、ビジュアルブックとどんどん情報を重ねるうちにさらに広がっていきます。
というわけで続きます。